AERA2023年2月27日号より
AERA2023年2月27日号より

 それ以上に問題なのが、この戦争の「西側対東側」という構図がどこまで明確になっていくのかどうかです。具体的に言えば、「はたしてポーランドが戦争に参加するのか」がこれからの大きな焦点になってくると見ています。

 ポーランドには特殊な反ロシア感情があります。歴史的にもウクライナの一部がポーランドだったこともありますし、今も数千人のポーランド人兵士がウクライナ側で戦っていると言われています。これでポーランドからドイツ製の戦車「レオパルト2」が供給されれば、また状況が大きく変わるでしょう。

 そもそも戦車を供与するにあたっては、戦車が数カ月かかってウクライナに届いてから、操縦士が運用技術を習得するのにまた数カ月間かかるという問題があります。でも、もし戦車の操縦士がポーランド人なら、もう少し早く攻撃を始めることが可能になる。そうやってポーランドがこの戦争に食い込んでくるようなことになると、ウクライナの分断よりもより問題が大きくなっていくと思います。

 言えることは、戦後のウクライナには非常に悲劇的なものが待っているのではないかということです。全ては破壊され、復興はとても困難でしょう。そこで米国が何か手助けするかと言うと、そうは思えませんから。

 この戦争が今後、どのように広がっていくのか。最も重要なのはポーランドに加えて、バルト三国、英国、米国がどう動くかです。これらの国が今、非常に好戦的な姿勢に変わってきつつあります。そのときに問題になってくるのが「加盟国の一つに対する攻撃はNATO(北大西洋条約機構)全体への攻撃とみなす」とするNATO条約の第5条です。そこで、もしロシアがポーランド、バルト三国、英国、米国のいずれかを攻撃したら、フランスははたしてどうするべきか。私としては、これらの国と連帯する必要はないということを今から明確にしておくべきだと思います。

 また、ポーランドについて、ウクライナ問題をさらに深刻化させるようなことをしたらNATOとしても連帯はできないということを明確にわからせるべきではないかと考えています。

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