リカがカンチに「セックスしよ」と言ったシーンのロケ地(東京都品川区)(撮影/写真部・岸本絢)
リカがカンチに「セックスしよ」と言ったシーンのロケ地(東京都品川区)(撮影/写真部・岸本絢)
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 バブル世代の恋愛観に多大なる影響を与えた「東京ラブストーリー」の続編が発表された。大人になったリカとカンチに比べ、現実の女たちは――?

「カ~ンチ、セックスしよ!」

 そんなセリフでバブル期のお茶の間をザワつかせたドラマ「東京ラブストーリー」(フジテレビ、以下「東ラブ」)が放送されたのはジュリアナ東京がオープンし、宮沢りえの写真集『Santa Fe』がベストセラーになった1991年のことだ。

 あれから25年──。今年1月、当時原作を連載していた「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)誌上に、柴門ふみによる続編読み切り漫画が発表された。

 赤名リカと、カンチこと永尾完治も続編では50歳。リカはシングルマザーとして一人息子を育て上げ、今は千葉の農場で一人暮らし。一方、リカと別れてからさとみと結婚したカンチは、地元・愛媛に中学校教頭として単身赴任中だ。

 そんなある日、カンチの元に、自身の年頃の娘から電話がかかってくる。結婚したい相手がいるという娘の声に耳を傾けていたカンチは、相手の名前を聞いて卒倒。その名は「赤名アフリカ」──そう、リカの息子だったのだ。

「恋愛はたとえダメだったとしても、参加することに意義があるんだから。人が人を好きになった瞬間って、ずっとずーっと残っていくものだよ。それだけが生きていく勇気になる。暗い夜道を照らす懐中電灯になるよ」

 ドラマのなかのリカは、しみじみとこんなセリフを言っていた。50歳になり、社会的責任と生活が中心になったリカとカンチの胸の中も、あの頃の恋愛が照らし続けているのか。

 リカと同じ50歳のミヤさんは、現在12歳年下の彼と事実婚中だ。連載当時から「東ラブ」を愛読し、ドラマも好きだった。

「恋愛でも結婚でも、私たちの世代には“なんとかなる”っていう根拠のない自信がある。人生どこかで舐めてるかもね」

 京都大学卒の理系女子。外見は大人しそうで、恋愛もオクテに見えるようなタイプだ。卒業後は高校の先輩だった彼と婚約し大手コンピューターメーカーへ就職。2カ月の研修中の連休を利用して地元に戻り結婚式を挙げ、再び東京での研修へ向かった。だが、夫と離れて仕事をするうちに、結婚前に直感していた夫への疑問や嫌悪感が次第に膨れ上がり、うつ状態に。そんな折、たまたま隣の席に座った同期の男性といい仲に発展。研修最終日、式からわずか1カ月。知り合って間もない男性と2人で北海道へ逃げた。迷いなどなかった。

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