マラソンを趣味にしていると、仕事によって練習のペースが崩されてしまうことも少なくないのでは。記者も仕事に忙しく練習しない→レースに出られない→だから練習しない、の悪循環にハマっていたが、あることをきっかけに再び走る楽しさに目覚めた。それが、出張先で走る「出張ラン」という方法だ。
出張ランをする場合、ホテルの選び方も変わってくる。取材先とのアクセスが良いのはもちろんだが、走りたい場所まで往復30分から1時間の距離にある、というのが重要なポイントになる。
コースはやはり緑が多いところがいい。今回の福岡出張は博多駅周辺に泊まって神社仏閣を巡りながら、筥崎宮(はこざきぐう)を目指すルートと、地元ランナーの聖地、大濠公園を巡るルートとで迷ったが、迷子になる可能性の低い後者に決め、屋台で有名な中洲近辺に宿を取った。
東京に比べて30分以上遅い日の出に合わせて、ホテルを出発。1月下旬、気温は6度。前日までの記録的冷え込みが緩んだようで、絶好の出張ラン日和だ。繁華街の天神もまだこの時間、人通りはまばら。自転車通学の女子高生がさっそうと脇をすり抜けていく。
左手に黒田官兵衛・長政父子が築いた福岡城の堀が見えてくる。坂道を登って城跡へ。すると突然、かなり広大な地面がビニールで覆われている一画が現れた。これは何? 立て看板によれば、ここは古代から外交施設・迎賓館として使われた鴻臚館(こうろかん)があった場所で、現在、発掘調査が行われているらしい。学生の頃から歴史が大の苦手だった私でも、出張ランのついでだと、ついつい看板に見入り、ちょっぴり物知り気分を味わえるのがいい。
でも、目指す大濠公園はこの道で合ってたっけ。急に不安になり、犬の散歩をしている人に尋ねてみた。