付属校は、大学の学生構成に直結する要素。小学校設置で見ると、関西は首都圏に比べて遅く、同志社と立命館が小学校を開校したのは06年。08年には関学、10年には関大がそれぞれ初等部を開校し、ここにきて「お受験」が盛り上がってきた。
■関大の初等部が人気
名門幼稚園や小学校のお受験に特化した「アンテナ・プレスクール」(東京都渋谷区)の石井至校長に、付属小学校について聞くと、意外な言葉が。
「関関同立の小学校のカリキュラムを見ると、思考力育成プログラムを取り入れるなど一番魅力的なのは関大初等部。保護者の人気も圧倒的に高い。いまは、大学のレベルは関関同立の中で一番下かもしれないが、卒業生が大学生になる10年後には、大学そのものの評価が向上しているでしょう」
10年後の勢力図を予想するうえで、重要なポイントと言えそうだ。実際、10年前と立ち位置が大きく変化し、親世代と現役学生のイメージが異なる大学がある。近大だ。
02年、世界で初めてマグロの「完全養殖」に成功して以来、アンテナショップを出店したり、手軽にネットで出願できる「エコ出願」を始めたりと、話題に事欠かない。14年に、一般入試の志願者数が明治を抜いて日本一になったことはすでに述べた。
入学式も名物イベントとして定着。今春は音楽プロデューサーのつんく♂さん(47)が声帯摘出を告白して話題になった。
広報部の世耕石弘部長は言う。
「『MARCH』『関関同立』は、いずれも語呂がいいこともあって価値観が固定化しているに過ぎない。古くさい大学の序列はやめてもらいたい。強いて言うなら、ライバルは学部数がほぼ同じ立命と関大です」
■就職は同志社と関学
現役学生も勢いを感じているようで、総合社会学部3年の男子学生(21)は、
「関関同立に行きたかったけど、自分の実力では手が届いても関大。結局、落ちてしまったものの、迷いなく近大に来ました。元気で活気がある。近大を知らない人はいないし、最初から『悪くない』と思ってました」
初年度の納入金は医学部を除いても、関関同立に比べて全体的に高い。コスパが良いとは言えないものの、関関同立に次ぐ地位を固めたことは間違いない。
とはいえ、大学のブランド力が影響しやすい銀行や商社への就職においては、関関同立の存在感は揺るぎない。
著書に『関関同立学』(新潮社、共著)があるルポライターの小嶋忠良さん(70)は、
「同志社は歴史が長く優秀で著名な卒業生も多い。関学には東の慶應義塾大学のようなスマートさがある。他大学がこの2校を凌駕するのは難しいでしょう」
関西私立のトップに君臨する同志社にライバル校はどこか尋ねると「あえて挙げるなら地方国立大学」と回答がきた。
同志社の視線は、世界にも向かう。米国の13のリベラルアーツカレッジが日本語教育をする拠点が学内にあり、日本人学生と連携した授業も実施しているほか、16年度には「グローバル教育センター」を設置。日本の伝統文化からラーメンに至るまで、幅広い教養を英語で学べるという。