大和総研レポート「消費税増税等の家計への影響試算(2015年度予算案反映版)」を一部改変
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大和総研レポート「消費税増税等の家計への影響試算(2015年度予算案反映版)」を一部改変
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全国のユニークな給付金など
全国のユニークな給付金など

ぜいたくしていないのに手元に残るお金が年々減っている。そんな実感をもつ人は少なくない。そのカラクリを「見える化」すると――。(編集部・石田かおる)

「最近、家計相談に異変が起きているんです」

 2万世帯以上の家計診断を行ってきたファイナンシャルプランナー(FP)で、家計の見直し相談センター代表の藤川太さん(46)は首をかしげる。

●家計から消えた「聖域」

 異変の一つは、家計に余裕のある人たちが不安にかられて相談に来るようになったことだ。

「預金が1億円たまってもおかしくない家計なのに、不安だと訴える方が立て続けにいらっしゃいました。こうした層の関心事は、もっぱら資産運用だったのですが……」

 二つ目は、家計のムダをすでに削りに削った相談者が増えていること。家計の収支改善は、保険の見直し、住居や車にかかる費用の削減など、固定費から着手するのが王道だが、

「固定費をギリギリまで絞った方が多くなりました。食費などの日々のやりくりに手をつけないといけない。『家計簿を見せてください』と言わざるをえないケースが増えています」

 ライフプラン自体に踏み込む場合もある。たとえば子どもの教育費。リーマン・ショックの2008年ごろまでは「聖域」で、車や自分たちの小遣いを我慢してでも、わが子を私立校に行かせようとする親たちが多かった。しかし、教育費にお金をかける層とそうでない層との二極化が進んだ結果、

「もはや聖域ではなくなった」

 と藤川さんは言う。

 家計を襲う異変の背景には、年々重くなる税や社会保障費の負担がありそうだ。消費税増税に加え、控除・手当の廃止・縮減が繰り返される。賃金はさして上がっていないのに、物価上昇で消費支出が増えているのも痛手だ。

 税と社会保障の一体改革の議論が始まった11年から、消費税増税などの負担増が家計に与える影響を試算してきた大和総研。金融調査部の是枝俊悟研究員は、17年4月の消費税率の10%への引き上げまでを視野に入れ、翌18年までの「実質可処分所得」の変化を算出した。

●家族形態や年収で違い

 税引き前の年収から所得税、住民税、社会保険料を差し引き、児童手当を加えた名目の「可処分所得」に、消費税増税にともなう物価上昇による目減りを反映させた数字。平たく言えば、実質的な手取り額だ。

 その結果、家族形態や年収によって負担増の程度が異なることがわかった。パターン別に見ていこう(グラフ参照)。

【片働きより有利な共働き】

 世帯年収1千万円の共働き世帯(夫婦ともに年収500万円、3歳以上中学生以下の子ども2人)では、11年から15年にかけて実質可処分所得が36.7万円減る。消費税率が通年で10%になる18年には、減少額は約50万円に達する。仮に11年の段階で家計収支がトントンの家庭が同じ生活を続けると、収入が増えない限り7年後には年間約50万円の赤字に転落する計算だ。

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