負担の主な内訳を見ると、最も大きいのが消費税率引き上げと厚生年金保険料引き上げ。児童手当の縮減や、住民税の年少扶養控除の廃止も響いている。

 専業主婦など片働き世帯の受ける打撃はもっと大きい。実質可処分所得はすでに11年時点で、共働き世帯より約50万円も下回っている。所得税は世帯年収ではなく個人に累進課税され、年収各500万円の共働きより高い税率が適用されるためだ。

 専業主婦の夫には基礎控除に加えて配偶者控除も適用されるが、共働きには基礎控除が夫婦両方に認められるので、その点ではイーブン。専業主婦世帯が有利とはいえない。

 スタート時点で共働き世帯とこれだけついていた差は、年とともに拡大していく。片働き世帯では、実質可処分所得の減少額が、15年までで47.8万円、18年までで59.9万円と、最終的には共働き世帯を10万円ほど上回る。12年6月から、児童手当に設けられた年収960万円の所得制限が響いている。所得制限は、世帯年収ではなく、夫婦どちらか多いほうの年収が基準。試算の共働き世帯は夫妻とも年収500万円のため、制限には引っかからない。

【高年収には新たな負担】

 片働き世帯の11年から18年までの実質可処分所得の減少額は、年収300万円で24.7万円、500万円で32 .2万円、1500万円では82.7万円となった。年収1500万円の世帯には16年以降、給与所得控除の上限額引き下げによる新たな負担が加わるため、減少額がとりわけ大きい。

 年収が高いほど負担額は大きくなるが、負担率は必ずしもそうではない。11年から18年にかけての実質可処分所得の減少率は、年収300万円世帯が8.8%と最も高い。住民税の年少扶養控除の廃止や児童手当の縮減が、分母の年収が少ないぶん大きく響くようだ。

【減額小さいシングル世帯】

 年収500万円の単身世帯の11年時点の実質可処分所得は394.2万円。同じ年収の片働きの子育て世帯に比べて約40万円少ない。単身世帯には配偶者控除などが適用されないからだ。

 ただし、実質可処分所得の減少額は、11年から18年にかけて18.6万円で、子育て世帯の6割程度にとどまる。単身世帯には児童手当などの給付がもともとないぶん、子育て世帯ほどには制度改正の影響を受けないからだ。

●自治体の給付金も狙え

 程度の差こそあれ、負担増はあらゆる家計を襲うことがわかった。少しでも補う手はないものか。本誌は、地方自治体などが独自に実施する「給付金」に注目した。

 オンライン家計簿のZaimが8月に行った調査では、居住地の自治体からもらえる給付金について「知らない」と答えた人が71.6%を占め、情報収集したことのある人は16.7%にとどまった。その一方で、実際に申請を行った経験のある人の83.4%が「手続きは容易にできた」と回答した。

 同社の綿島琴美さんは、こう指摘する。

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