憲法改正や防衛力強化を掲げる国内最大の保守系団体「日本会議」。安倍内閣の現役閣僚の実に4分の3が連なり、政権中枢に深く影を落とす。
8月15日、靖国神社参道に設けられたテントには、約600人が詰めかけていた。日本会議が主催する「第29回戦没者追悼中央国民集会」。首相補佐官の衛藤晟一氏や自民党政調会長の稲田朋美氏など、国会議員や地方議員の顔も見える。
田久保忠衛会長が挨拶(あいさつ)に立ち、前日に安倍晋三首相が発表した戦後70年談話について、こう言及した。
「まだ東京裁判史観を信奉する人たちが大きな顔をして運動している。安倍談話に100%は賛成できないが、要点は村山、小泉談話とは違うということ。(中略)現在完了進行形で『深い反省をしている』と言っていないことに注目すべきだ。安倍さんの時代になり、大きく潮目が変わった」
会場から大きな拍手が起きた。稲田氏も挨拶に立ち、自民党内に東京裁判を検証する組織の設置を検討中だと明かした。
そんな保守思想を持つ日本会議はいま、安倍政権にとって無視できない存在だ。
首相が2月、憲法改正の国会発議とその賛否を問う国民投票の時期について、来年夏の参院選後が「常識的だろう」と初めて言及した。これは「参院選での国民投票を強く求める日本会議を抑えるのが目的だった」(自民党議員)という。そもそも体調不良でいったん首相を辞した安倍氏が再登板できたのは、「日本会議が推したから」(民主党の首相経験者)ともいわれる。