「縦に落ちる山﨑のツーシームは、打者が直球を待っていたら必ず空振りする球。彼の活躍はチームにとって大きいですよ」
好調な打線や、終盤の粘り強さ…。好調の要因はいろいろと挙げられる。ただ、1、2点差の接戦を20試合以上制している今季のデータを見れば、山崎の活躍なしにこの順位はありえない。本人は自覚たっぷりに言う。
「自分の一球が勝敗につながるという責任を負っている。一球一球、真剣に投げています」
いまのベイスターズを覆っているのは、さまざまな「好循環」だろう。球団は4年前から、野球で人をつなぐ「『コミュニティボールパーク』化構想」を掲げ、地域密着で負けていても楽しい球場を目指した。その結果、昨年までの3年間で40%超の観客増を成し遂げている。一方で中畑監督の「最後まであきらめない野球」が浸透し、チームは観客をひきつける「面白い野球」ができるようになってきた。
「試合の後半が面白い。必ず逆転してくれるんです」と女性ファン。たとえ負けていても、ファンもあきらめずに声援を送る。だから、選手だって頑張れる。
※AERA 2015年6月8日号より抜粋