NO SUMO, NO LIFE ──。相撲なしでは生きていけない女性が、増えているという。1月に出版された専門誌がそんな女性を「スージョ」として紹介。愛する国技に情熱と時間を傾け、ライフスタイルに取り入れている女性たちを指す言葉は一気に広がった。
雑誌の表紙を飾ったモデルの市川紗椰さん(28)もその一人。
「ここ半年ぐらいで、『相撲に連れていって』と周りの友人に言われることが増えました」
東京・錦糸町にある「相撲Bar愛」。元力士が4年ほど前に開いたこの店にも、女性客が数多く訪れるようになった。ここに、最近相撲にハマった3人の女性に集まってもらうと…「力士の匂いがたまらないよね」「わかる。どんなに暗闇に隠れていても、『いるな』って気づける鬢(びん)付け油のあの匂い」と相撲トークが止まらない。
都内に住む山本萌子さん(24)は3年前、当時大関の鶴竜の取組を見て、はっとした。
「勝っても負けても、顔に出さない。すぐに表情に出してしまう私とは、正反対だな」
鶴竜は生き方の先生だ。自宅のトイレをお気に入りのグッズが並ぶ「相撲部屋」に変え、ファンクラブに迷わず加入した。「若いのに話が合うね」と年配世代に褒められ、相撲が好きになってよかったなと心底思う。
昨年5月にブログ「女子だけど大相撲大好き」を開設した主婦ブロガーの「好角家ちゃん」さんは、力士の「お姫様抱っこ」企画など、ファンサービスの進化を歓迎し、こう話す。
「騒動があってボロボロになったおかげで、お相撲さんも親方も、相撲協会も、ファンに優しくなった」
いまでは、中継を5時間見て、ブログを書いてから夫に食事を作る、どっぷり相撲生活。SNSでつながった「オスモダチ」も増えた。
相撲が人生を豊かにし、女性を輝かせる。
「もはや、国技館はディズニーランドを超えました」
※AERA 2015年3月23日号より抜粋