社内のポジション争いに明け暮れるより、ヒラで結構。最前線で腕の良さで重宝される「スーパーヒラ」的働き方。40代アンケートでは4割が「理想」と答えた。
貝瀬勇さん(66)は、業務用冷凍設備のトップメーカー、前川製作所で働く生産技術・品質管理のスペシャリスト。週5日フルタイム勤務で、社内のさまざまなプロジェクトに参加し、品質保証のためのリスクチェックやトラブルの原因解析などについて、専門的なアドバイスを提示していく。
「社内で、どんな分野でも話がよく見えるというのはありますね。異業種でいろんな経験を積んできたからでしょうか」
そう語る顔つきは柔和で、偉ぶったところはない。
社内のポスト不足やキャリアの頭打ち感に悩む40代のビジネスパーソンにとって、貝瀬さんのように、専門性を生かしながら、地位にこだわることなく、長く生き生きと働く姿は一種の理想型ではないか。というわけで、勝手にこうした働き方を「スーパーヒラ」と名付けさせてもらった。
彼が勤める前川製作所には、スーパーヒラ的ベテラン社員がたくさんいる。同社は60歳の定年後もほとんどの人が辞めない「定年ゼロ」企業として知られる。現在、最高齢は75歳。過去には82歳まで現役だった人もいた。