けん玉の技「つむじ風」を披露する河本伸明さん。これに続いて、玉を大中小の皿と剣に順に移す「世界一周」を見せてくれた(撮影/写真部・慎芝賢)
けん玉の技「つむじ風」を披露する河本伸明さん。これに続いて、玉を大中小の皿と剣に順に移す「世界一周」を見せてくれた(撮影/写真部・慎芝賢)
この記事の写真をすべて見る

 子どものおもちゃのイメージしかなかった「けん玉」に、「カッコいい」と、大人たちがハマっている。実は、米国で人気に火が付いた。

 今、けん玉が新たなブームを迎えている。東京都渋谷区にある洋服店「DECADE TOKYO」のオーナー、河本伸明さん(35)が実演しながら説明してくれた。従来、けん玉は、一つの技の完成度を極めるのが主な遊び方だったが、今はスケートボードやBMX(バイシクルモトクロス)などのストリート系スポーツのように、技と技をつなげていく。「ストリートけん玉」あるいは「エクストリームけん玉」と呼ばれる。

 この店では、洋服やBMXと共にけん玉が並べられている。国産品と米国や北欧などからの輸入物があり、価格は1600~5千円。昨年秋ごろからは、1週間に約100本も売れている。取材中にも、20代のカップルや母親に連れられた小学生、男性客などが次々とけん玉を買っていった。

 今回のけん玉ブームは米国から逆輸入された。海外との交流やイベント企画などをしている一般社団法人「グローバルけん玉ネットワーク」の窪田保さん(32)によると、2010年くらいから世界的に人気に火が付いた。流行のきっかけは、日本のけん玉を米国に持ち帰った、ストリート系スポーツを楽しむ米国人の若者たち。今では米国に、けん玉のプロチームまである。

 米アトランタにあるけん玉プロチームの広報担当、チャールズさんは、けん玉の魅力をこう話す。

「けん玉は友達と一緒にできるし、クールな場所でもできる。他の人と勝負もできて、数限りない技があるのもいいね」

 米国のけん玉プロチームが、高い技術をファッショナブルに見せるプロモーションビデオをユーチューブで公開すると、それを見た日本の若者たちにも、カッコいいけん玉のイメージが浸透した。

AERA  2014年5月19日号より抜粋

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼