メルセデス・ベンツ日本企業広報課マネージャー河野綾さん(左上)六本木にあるカフェ併設の新型ショールームで。河野さんは忙しい時、保育園のママ友と助け合って乗り切ってきた(撮影/今村拓馬)ゼロ勤務休暇月間労働時間が所定時間を超える場合、業務に余裕のある日を「ゼロ時間勤務日」として申請。月に最大5日まで認められ、欠勤扱いにならないカフェテリアプラン1人年間7万5千円分の「カフェテリアポイント」を付与。語学学校、旅行、ベビーシッター代、幼保育園の月謝、育児用品などの補助代として幅広く使用が可能
メルセデス・ベンツ日本
企業広報課マネージャー
河野綾さん(左上)

六本木にあるカフェ併設の新型ショールームで。河野さんは忙しい時、保育園のママ友と助け合って乗り切ってきた(撮影/今村拓馬)

ゼロ勤務休暇
月間労働時間が所定時間を超える場合、業務に余裕のある日を「ゼロ時間勤務日」として申請。月に最大5日まで認められ、欠勤扱いにならない

カフェテリアプラン
1人年間7万5千円分の「カフェテリアポイント」を付与。語学学校、旅行、ベビーシッター代、幼保育園の月謝、育児用品などの補助代として幅広く使用が可能
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 いま日本の多くの企業が、ダイバーシティー(多様性)は成長のカギであり、特に子育て中の女性社員の活用は必須で、そのためにもWLB(ワークライフバランス)の確保が欠かせないという「認識」を持つ。だが現実には、多くの日本企業で働く人々は長時間労働に縛られ、それができない子育て社員は何かを諦めなければならない。先進的な外資系企業には、その壁を取り払うための工夫や風土がある。

 ドイツの高級車メーカー、メルセデス・ベンツ日本には15種類もの多彩なWLB関連の制度がある。残業などの超過勤務時間を「貯金」し、余裕のあるときに「出勤扱いの休日」に振り替えられる「ゼロ勤務休暇制度」や、子育てサービスなどを利用した際の料金を補助してくれる「カフェテリアプラン」……。企業広報課マネージャーの河野綾さん(41)は、それらをフル活用して、2人の子育てをしながらキャリアを積んできた。

 広報という仕事柄、夕方から取材対応があることもある。週1回は夕方3時間、家事サービスを頼み、カフェテリアプランを利用して補助を受けている。金銭的な負担軽減以上に、家事サービスを利用するきっかけになったことが大きい。

「制度がなければサービスを利用しようという発想がそもそもなかった」

AERA 2014年4月21日号より抜粋