このように制度改変の先の姿がはっきりしないことが、受験生の不安のタネになっているのだ。前述した「安全志向」も、こうした不安が要因になっていることは想像に難くない。
大手予備校「代々木ゼミナール」入試情報センターの坂口幸世・統括本部長は、
「新課程の入試について、高校の先生も生徒もよく分かっていないことが不安に結びついています。例えば、科目名が変わると、出題内容もすごく変わるように感じてしまう。実際は、現高3生が浪人しても経過措置があるから不利になることはないし、新課程で学んだ高2生以降は学んだ範囲が出題されるだけ。むしろ、みんなが安全志向なら難関校に入るチャンスでもあるはずです。風評に惑わされずに、しっかりと入試に臨んでほしい」
と説明する。つまり、受験生が過度に心配する必要はないわけだ。センター試験まで残り1週間の直前期には、時間配分に注意しながら過去問を解き、弱点分野を埋めていくといった対策が効果的だという。
●ゆとり世代 軽く見るな
元日から友人と一緒に大手予備校の自習室で詰めの勉強をしていた都立小石川中等教育学校6年(高3)の増子悠さん(18)は、こんな決意を語ってくれた。
「好きでゆとり世代に生まれたわけではありませんが、学校行事や部活にきちんと取り組むことができたのは、ゆとり教育のいいところだったと思います。この世代もやるべきことはできる、ゆとり世代を軽く見るなということを社会に示したい」
高3生も浪人生も、この意気で、ぜひのびのびと実力を発揮してほしい。
AERA 2014年1月20日号