男子学生が圧倒的に多い理系大学。そのためか、理系男子にはあまり服装に気をつかわない人も多いようだ。そんな彼らの服装を気にしているのは、実はその母親たちだ。
大学2年生になった息子のファッションは「ひどくない」とパート勤務の女性(50)は言う。なぜなら理系で男子校出身の息子の洋服は、すべて自分が選んで買っているからだ。
「出かける時、息子はいちおう自分で服を選びますが、ほぼ毎日『これでいい?』と確認されます」
自立してセンスがある子は、中学生になると自分で服を選んでいると知ったのは、息子が高校生の頃。ところが息子は、制服以外の日は、全部「ママのコーディネート」だった。女性は不安を覚える。
「今でも、旅行などに持っていく服は、ほぼ私が決めています。上手にアドバイスしながら自立させればよかったんですが、もう手遅れかもしれません」
息子のファッション「改造計画」は、どのタイミングでどのように進めれば、うまくいくのだろう。
「理系志望の息子の通う中高一貫男子校には、女の子は2次元の世界だけでOKと言い切る子が多いんです。そうなられては困る。リアルな女子にダサイと思われない、できれば好感をもたれるレベルになってほしい」と自営業の女性(44)は気にかける。
大人の女性のスタイリングに定評がある人気スタイリストの石田純子さんは「少なくともファッションセンスが良くて損をすることはありません」と、男子にもファッションに興味を持たせることを勧める。
石田さん自身、センスが抜群と評判の20代男子の母親でもある。プロの特権で息子に徹底指導したのかと思いきや、いろいろと配慮もしたそうだ。
「上下全部替えたら?なんて言っても、思春期の男子に聞いてもらえないですよね。私の場合、彼が選んだファッションが気になるときだけ、上下のどちらがその日の主役なのかを聞いて、だったら上は(下は)あの服のほうが合うんじゃない?と、さりげなく言っていました」
プロのアドバイスというよりも、日々の服装について「人生の先輩」として、全否定ではない意見を女性目線で言い続ける根気が、華麗なる変身の継続や発展には必要なのだ。でないと、容易にパッとしない感じに“リバウンド”してしまう。
※AERA 2013年12月2日号より抜粋