イクメンたちも以前は「早く帰るのはカッコ悪い」「机に子どもの写真なんて」と思っていたと明かす(撮影/倉田貴志)
イクメンたちも以前は「早く帰るのはカッコ悪い」「机に子どもの写真なんて」と思っていたと明かす(撮影/倉田貴志)
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 男性にとってはなかなかハードルが高い育児休暇の取得。中には上司からの厳しい言葉で育休取得を踏みとどまっている人もいるかもしれない。男性の育休取得者を100人以上インタビューしてきた東レ経営研究所の渥美由喜さんは、上司が部下の育児参加を妨げる行為を「パタニティー・ハラスメント(パタハラ)」と呼ぶ。

 渥美さん自身、以前の会社で2度の育休を取得した際にパタハラを受けた。「キャリアが台無しになる」「なぜ男のお前が」と上司に怒鳴られ、子どもが熱を出して早退しなければならない時は、「評価を下げるぞ」「お前の配偶者選択が間違っていたんだ」となじられた。

 一方で、この上司から評価が高い先輩たちは、どれだけ会社に尽くしているかを自慢し合っていた。子どもに「おじさん」と呼ばれた、妻に「近所から2号だと思われるから非常識な時間に帰ってこないで」と言われて、ウイークリーマンションを借りた…。上司は2人の勤務表を見てこう評価したという。

「夜中まで仕事していて偉い。次はどちらかが課長昇任だ」

 そんな職場では「育休=戦線離脱」と捉えられてしまう。ライフネット生命保険の調査によると、会社員の5人に1人が同僚男性の育休取得を「不快に思う」と答えている。上司(管理職)の男性が取得する場合や、回答者を男性に絞ると、さらに上がる。育休を取ろうとすると、上司だけでなく、同僚の冷たい視線を浴びることになる。しかも、女性に対しての嫌がらせは「セクハラ」として訴えやすいが、男性だとハラスメントとして認識さえもされにくい。

AERA 2013年11月25日号より抜粋