食品偽装が相次ぐ昨今、消費者には食品に対する情報武装が必要だ。食材の真贋はもちろん、嘘ではないがイメージとは違う高級食材が多いことも知っておきたい。
たとえば高級珍味として知られる「からすみ」。通常はボラの卵を使ったものを指すが、奈良の旅館はサメの卵を使っていた。実際のところ、どの魚卵で作っても「からすみ」には違いないが、味は違う。静岡県でからすみを生産する「川善」の川崎幸一社長は、
「ほかの魚卵だと、たとえば皮が分厚かったりして十分に干せずうまみが凝縮しないんです」
同じく世界三大珍味のひとつ「トリュフ」。これも実は様々な種類がある。東京都港区のトリュフ料理専門店「テール・ド・トリュフ東京」シェフの小澤雅彦さんによれば現在、トリュフの中でも最高級の白トリュフは1キログラムで約70万円。顔を近づけると、森の匂いをぐっと凝縮した濃厚な香りが鼻をつく。一方、中国産は1キロあたり7千~8千円程度。
「中国産は香りを足すために、人工的につくられたトリュフオイルを足しているものもあります」(同店)
「トリュフ風」「トリュフの香り」などのメニューには、このオイルを使っているものも多い。
国内産のブランド豚も、実態には注意する必要がある。たとえば「アグー豚」は沖縄在来種の黒豚だが、沖縄県が認定している「アグーブランド豚」は、父にアグー豚をもつ豚であればよく、白い豚でもOK。そんな実態に父、母ともアグー豚の純正種出荷にこだわる「ゆいまーる牧場」の金城利憲さんは違和感を覚える。
「純正種のアグー豚は本当に入手困難だと知ってほしい」
※AERA 2013年11月18日号より抜粋