いびつな絆 関東連合の真実Amazonで購入する
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いびつな絆 関東連合の真実
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 昨年9月に東京・六本木のクラブで起きた“人違い”集団暴行殺人事件。その裁判が7月23日に始まった。事件にかかわっていたのは「半グレ」といわれる関東連合。彼らは暴力団と一線を画しながら、どうやって夜の街で勢力を伸ばしていったのか。ノンフィクション作家・石井光太氏と、元リーダーで『いびつな絆 関東連合の真実』の著者である工藤明男氏が対談した。

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石井:地方だと暴走族の先には、たいていヤクザがある。なぜ関東連合のメンバーは、暴力団に入らなかったんですか。

工藤:入る必然性がなかったですから。暴力団に入ると、いろいろ縛られるじゃないですか。親分の警護をしなきゃならなかったり、定期的に上納金を納めなきゃいけなかったり。そういうのが格好いいと思えなかった。あと、「関東連合」という名前だけで十分やっていけたというのもあるんでしょうね。

石井:「看板」が維持できたから、ヤクザにならなかったと。

工藤:付き合いがなかったわけではありません。稲川会に入った地元の先輩もいるし、ケンカがエスカレートすると、相手は必ず暴力団を出してきますから。ただ、その時に解決をお願いしちゃうと、自分たちが組に入らなきゃいけなくなる。だから、お願いはしない。彼らも、あの「関東連合」に貸しを作ったということで、後々何かに使えるだろうと考えるんですよ。

石井:ヤクザの世界に入らないですんだのは、資金が潤沢だったこともありますよね。豊富な収入源は何だったんですか。

工藤:法人登記して税金を納めるという意味で「正業」だったのは、AVプロダクションです。その後、その資金をもとにクラブや飲食店などの経営も始めた。ノウハウというほどではありませんが、AVをやったのは関東連合OBのK君がやっていたからです。

AERA 2013年8月5日号