![品川区立小山台小学校カリキュラム「いろであそうぼう!」。歌や塗り絵で色の名前を繰り返す。小山台小の1年生は、品川区が定める年間20時間を上回る、年間35時間の英語の授業を受けている(撮影/今村拓馬)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/2/4/620mw/img_24245739d848e5bb44c46d355c77283e73732.jpg)
カリキュラム「いろであそうぼう!」。歌や塗り絵で色の名前を繰り返す。小山台小の1年生は、品川区が定める年間20時間を上回る、年間35時間の英語の授業を受けている(撮影/今村拓馬)
![世田谷区立赤堤小学校漢詩を朗読する2年生。全員でリズムをつかんでいく。感想文には「わからない漢字もあった」「もっと漢詩をおぼえたい」などとあった(撮影/今村拓馬)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/0/6/620mw/img_06749e68e059a2900eef7e9a2c7fbeb166347.jpg)
漢詩を朗読する2年生。全員でリズムをつかんでいく。感想文には「わからない漢字もあった」「もっと漢詩をおぼえたい」などとあった(撮影/今村拓馬)
今、都内の公立小学校では、学校によって学習内容に差が生じてきているという。中でも世田谷区、品川区、杉並区は教育関係者の間で「3S」と呼ばれる、特色ある教育内容で有名な区。実際、公立小の教育内容は、それほど違うものなのか。品川区と世田谷区の授業をのぞいてみた。
「Red!」「Green!」 色紙を持って英語で歌いながら飛び跳ねているのは、品川区立小山台小の1年生だ。音楽が止まると、「One moretime!」の大合唱。所狭しと英語の絵本が並べられた「world room」で、担任とALT(外国語指導助手)、ボランティア指導助手、保護者が4人体制で、英語だけで授業を進めている。
品川区は2003年、小中一貫教育で国の構造改革特区の認定を受け、独自の教育課程に取り組めるようになった。06年には小学1年生から「英語科」を設け、区が作った指導書をもとに、主に担任が英語を教えている。
小山台小はさらに、その指導書にもよらない独自のカリキュラムを取り入れている。青山学院大学のアレン玉井光江教授が考案した、物語を通して英語を学ぶ方法だ。
「意味は理解できなくても、シャワーのように英語を聞き続ける。話せることを目指さない。品川区が目指すコミュニケーション能力の養成に誠実に向き合うと、この形になりました」(齋藤早苗校長)
一方の世田谷区。区立赤堤小の1年生も、教室で大声を張り上げていた。
「春は花 夏ほととぎす 秋は月…」
漢字には読み仮名がふってあるとはいえ、ひらがなを学んだばかりの1年生が、短歌を朗読している。担任が説明する。
「短歌は、昔の人が季節のことを考えて作った短い詩です」
世田谷区では国語とは別に、小学1年生から週1時間の「日本語」の授業がある。区が作成した教科書には、詩、俳句、論語などの著名な作品が登場する。区教委教育指導課の阪田敦子・指導主事は説明する。
「言葉の響きやリズムを感じられるよう、国語で習っていない漢字もあえて使います。深く考える力、表現力やコミュニケーション能力の育成がねらいで、古典の授業の前倒しではありません」
※AERA 2013年7月1日号
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