
不祥事続きの柔道界。6月25日には全柔連の上村春樹会長の進退をめぐって評議会が行われたが、会議は大いに紛糾した。上村会長は「10月に辞任する」旨を明らかにしているが、周囲は疑いの目を向ける。
改革プロジェクトの柱である指導者資格制度、暴力根絶プロジェクト、コンプライアンス委員会の成果のメドはいずれも10月で、上村会長はそれを念頭に「10 月辞任」と言っているようだ。
にもかかわらず、評議員会は紛糾した。前日の会見では記者たちから繰り返し「10月に辞めるで間違いないか」「改革が進まなかったら辞任時期が延びることはあるのか」と真意を疑う質問が相次ぎ、上村会長は「(10月までに)進めます!」と声を荒らげた。それでも、
「とても信じられない。10月に辞めるととりあえず言っておき、世間の風向きが変わるか、見ていくつもりだろう。上村さんは前言を翻す常習犯。改革、改革と言うが、自分がまず辞めるのが改革の第一歩だ」
と語るのは、評議員会で上村氏の即時退陣を求めた了徳寺健二評議員(千葉県連)。4月に辞任を示唆しながら6月11日には続投の意欲を見せ、24日に結局「改革のメドがつけば辞める」と述べた上村会長への不信感は根深い。
彼に限らず、上村会長が本気で辞める気があるのか、疑問に思う声は柔道界に少なくない。「人徳のなさ」と言えばそれまでだが、上村氏をよく知る元全柔連幹部は言う。
「彼はとことん粘る性格。もうダメだと結論を出すまでとことん頑張る、あきらめない。そういう人だ」
※AERA 2013年7月8日号