辛いけど爽快感！　本誌女性記者が「世界のマニアック武術」を体験

■Systema（システマ＝ロシア）

　元ロシア軍特殊部隊将校がロシア古来の武術を元に創始したトレーニングシステム。呼吸法を核に、心身のパフォーマンス向上を目指す。「型がなくてクリエーティブ。ロシアの武術というと怖い印象を持たれがちですが、呼吸によって体が自由になると、メンタルや行動も自由になり、生きるのが楽しくなるのが魅力」（北川貴英さん）

　赤坂のスタジオで土曜日に行われているレッスンに参加。ロシアの軍隊格闘技ということで怖いイメージがあり、身構えていたのだが、結果的には恐ろしいどころか、非常にわかりやすくて楽しいレッスンだった。この日取り組んだものの一つは、システマの基本ともいえる呼吸法について。相手に組み敷かれて身動きが取れず、圧迫された状態で呼吸を整えると、自分と相手にどう変化を及ぼすかを試してみることになった。

　2人一組になり、相手にがっちり拘束されている状態で自分の内側に気持ちを集中させ、鼻からゆっくりと息を吸い、口を軽くすぼめてゆっくりと息を吐き出していく。何度か呼吸を繰り返すうちに、外側は圧迫されていて苦しいはずなのに、自分の内側は落ち着きを取り戻していく。驚くことに、私のリラックスした状態は拘束している相手にも伝わり、相手の力がどんどん弱まっていくのだ。

　これは攻守逆にした時によくわかるのだが、相手がリラックスしてくると、踏ん張って力を入れているつもりの体が緩まっていく。恐るべし、呼吸法。というわけで、システマのレッスンは武術というよりは、体の使い方を知るワークショップのようで、知的好奇心が刺激される楽しいひとときだった。

　しかし、翌朝起きたら、全身がバキバキの筋肉痛になっていた。呼吸法が中心で激しい動きをしていなかったのになぜ？　と思ったが、おそらく普段使わない筋肉を知らず知らずのうちに使っていたのだろう。痛みに耐えつつ、「システマ、なんだかわからないけどすごい！」と圧倒されていた。（ライター・吉川明子）

※週刊朝日オンライン限定記事