※写真はイメージです (Getty Images)
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 長く連れ添った夫婦が熟年離婚するケースは令和になっても珍しくない。だが平成の時代には計画的な離婚が目立ったが、最近はふらっと家出したまま突発的に離婚する人が増えているという。シニア世代の夫婦に何が起きているのか。熟年離婚を探ってみた。

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 関東地方の桜の開花が報じられた日曜の昼下がりのことだった。

 元公務員で現在は不動産業を営む五十嵐勉さん(70歳・仮名)の妻の由紀子さん(67歳・仮名)が「ちょっとお友達の家に遊びに行ってくる」と外出した。だが、夜になっても帰宅しなかった。

「心配になって、妻の携帯に電話をしてみると、電源が入っていなかったんです。そこで妻の友達に電話をしたら、知らないとのこと。近所の人に聞いても、首を傾げるだけ。そこで息子に連絡を入れてみたら『心配することないよ。明日には戻ってくるんじゃないの』とまるで呑気。そこで『明日帰ってこなかったら、警察に届ける』と言ったら、翌朝、妻から『しばらく留守にするから心配しないで』というショートメールが届いたんです」

 それから10日ぐらい経ってから、妻の弁護士から連絡があった。離婚をしたいとのことだった。

「寝耳に水とはこのことです。ふらっと出ていったきり、帰ってこない。心配していたら、離婚だなんて」

 憮然とする五十嵐さんだが、離婚に対する妻の決意は固かった。

 都内で複数の飲食店を経営する三上俊之さん(65歳・仮名)の妻・のぞみさん(62歳・仮名)も、朝「ちょっとコンビニに買い物に行ってくる」と出たきり、帰ってこなかった。深夜に三上さんが仕事から帰宅すると、妻の姿はどこにもなく、連絡もとれなかった。そこで妻の部屋を覗いてみると、妻のお気に入りの和服を始め、洋服類も、ほとんど消えていた。慌てて娘(34歳)に電話すると、「ママ、とうとう出ていったのね」と呟く。妻は以前から娘に離婚をしたいと打ち明けていたが、三上さんは全く気づいていなかった。1週間も経たないうちに、妻から離婚届が郵送されてきたという。

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