韓国が新型コロナで苦境に立たされる中小企業支援を中心に、総額16兆ウォン(約1兆4千億円)もの経済対策をつぎ込んだのと、あまりにも対照的だ。
共働きの保護者らは不安の声を上げている。スーパー販売員の30代女性が困惑する。
「うちは小学2年と保育園児の2人の子がいるから、仕事を休まなくてはならない。生活は楽ではないのに急に休校と言われても、どうしろというの」
小学3年と保育園児を抱えるメーカー勤務の30代女性も不安を明かす。
「コロナは高齢者が感染すると重症化するというし、じいじやばあばには預けられない。これまではお迎えや夕食の世話などをシルバー人材センターの方や、シッターさん、ファミリーサポートの会員に頼んでいたのですが、それも高齢者の方が目立つし……」
新型肺炎は中国全土で見ると、致死率は約4%だ。
「放っておけない病気であることは事実ですが、現時点での子どもの感染者の割合も重症化率もきわめて低い」(前出の岡部氏)
むしろ、中国のデータなどからわかっているのは、新型コロナに感染して重症化するのは高齢者や持病を抱えるハイリスク者だ。
新型コロナの初期症状は風邪と見分けがつきにくいうえ、感染しても無症状の人も多い。全国各地で小集団の感染が見つかっているということは、国内でかなり蔓延が進んでいると見たほうがよさそうだ。
NPO法人「医療ガバナンス研究所」理事長の上昌広医師はこう指摘する。
「蔓延期の感染症対策は、とにかく死者を出さないことが目的です。つまり、高齢者を守ること。高齢者は子どもなど家庭でうつされます。ですから、風邪の症状のある若い人の検査が必要なのです。感染がわかれば、高齢者や持病のある人と距離を取ることができます。これが徹底されなければ大変危険なのです」
だが、日本の検査数は1日平均約900件にとどまり、発症が疑われている人さえ検査が受けられていないのが現状だ。
「高齢者の感染が見つかったら、早期治療が肝心です。脱水症状などを起こして、すぐに重症化しますから、治療が1日早いか遅いかでずいぶん違ってきます。ところが、帰国者・接触者相談センターに相談するのは、いまだに高齢者でも37.5度以上の熱が続くことを目安にしている。非難されるべきです」(上氏)