今回のウイルスには現時点で、インフルエンザのように流行性が確認された治療薬がない。その点が世界的な不安の最大の原因となっています。そのため、現在、わが国ではいわゆる「アビガン」を含む三つの薬について、新型コロナウイルスに有効かどうかを見極めるため、開発研究としての患者への投与をすでにスタートしています。

 いずれも、新型コロナウイルスを用いた基礎研究では一定の有効性が認められていることから、実際の患者のみなさんに同意を得て使用することで、治療薬の早期開発につなげてまいります。

 危機にあっては常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要です。北海道では鈴木知事が緊急事態宣言を発し、この週末、外出を控えるよう道民への呼びかけを行っています。

 国も、雇用調整助成金の特例を設け、非正規の方も含めて休業となった方々への支援をしっかり行ってまいります。必要となる物資の提供など、あらゆる支援を惜しまない。さらに今後、一定の地域において、急激な感染の拡大などが見られた場合に、どのような措置を取るか。その具体化はもはや待ったなしです。

 すでに政府として基本方針をお示ししているところでありますが、あらゆる可能性を想定し、国民生活への影響を最小とするために、立法措置を早急に進めてまいります。

 今後とも、国民の健康と安全を守ることを何よりも最優先に、必要な措置は躊躇(ちゅうちょ)することなく実施する考えであります。今回のウイルスについては、いまだ未知の部分がたくさんあります。

 よく見えない、よくわからない敵との戦いは容易なものではありません。率直に申し上げて、政府の力だけでこの戦いに勝利を納めることはできません。

 最終的な収束に向けては、医療機関、ご家庭、企業、自治体をはじめ、一人一人の国民のみなさんのご理解とご協力が欠かせません。

 みなさんの暮らしに直結する決断には当然、様々なご意見、ご批判が伴います。内閣総理大臣として、そうした声に耳を傾けるべきは当然です。しかし、それでもなお、内閣総理大臣として国民の命と暮らしを守る。その大きな責任を果たすため、これからも先頭に立ってなすべきことは決断していく。その決意であります。収束への道のりは予断を許しません。険しく、厳しい戦いが続いていく。そのことも覚悟しなければなりません。

 本当に大変なご苦労を国民のみなさんにはおかけしますが、改めてお一人お一人のご協力を深く、深く、お願いをする次第であります。

 しかし、私たちは必ず乗り越えることができる、そう確信しています。最後となりましたが、ダイヤモンド・プリンセス号の現場対応を含め、ウイルスの対応の最前線で頑張ってくださっている医療関係者をはじめ、全ての関係者のみなさんのご努力に心より敬意を表するとともに、ご協力をたまわりますように、お願いを申し上げる次第であります。私からは以上です。

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