これに対し被害者の会は、18年以降も服用後に事故死した報告があったとして、原則禁止を復活させるよう求めている。

 被害者の会代表の秦野竜子さんの中学2年生だった息子は05年2月、タミフルを服用後に自宅マンションから飛び降りて亡くなった。病院でインフルエンザA型と診断され、タミフルカプセル4日分を処方された。最初のカプセルを飲んでから約2時間後、9階の通路の手すりを乗り越えて転落したという。

 独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に副作用被害救済の申請をしたが、遺族一時金は不支給になった。秦野さんは他の遺族とともに不支給決定の取り消しを求めて最高裁まで争ったが、16年に敗訴が確定している。

「安全が確認されたわけではないのに、厚労省は薬をどんどん使う方向に進めています。同じ被害をくり返さないためにも、少なくとも10代には使用禁止にするべきです」(秦野さん)

 薬の安全の監視活動をしているNPO法人「医薬ビジランスセンター(薬のチェック)」の理事長、浜六郎医師はこう指摘する。

「インフルエンザでも異常行動を起こすことはありますが、厚労省はそれを隠れみのにしています。タミフルが原因になることもわかっているはずです。タミフルは脳の神経をまひさせ、認知機能を低下させます。私も参加した国際的な医療評価プロジェクトの『コクラン』の14年の報告書で、タミフルは精神症状を引き起こすと明確に結論づけています。この報告をもとにWHO(世界保健機関)は17年、タミフルを必須薬剤主要リストから補助リストに格下げしました。厚労省の有識者会議はそのことに触れていません」

 タミフルの動物実験をしてきた武蔵野大学の小野秀樹・客員教授(神経薬理学)が説明する。

「タミフルは体内で代謝された『活性体』が効く仕組みになっています。代謝される前のタミフルそのものは、体温を下げることがわかりました。ドーパミン受容体も刺激し、中枢興奮を起こすことが考えられます」

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