97年の日本シリーズでは私は西武の監督として野村さんが率いるヤクルトと対戦した。野村さんは西武のチーム、選手へ向けて挑発のコメントをしていたが、私は何も感じなかった。挑発に乗るということは過剰に意識をすること。とりあうことはなかった。ただ、1勝4敗。当時は悔しさが募ったが、今では良き思い出として残っている。
野村さんの訃報を耳にする前、2月上旬には巨人、西武などの宮崎キャンプを回った。7日には、西武のドラフト1位、宮川哲のフリー打撃登板を見る機会があった。小雨が降るコンディションだったが、フォームのバランスもいいし、直球にも力があった。
大事なのは実戦の中で打者の反応を見て何かを感じ、修正していけるかということだ。身長177センチは私と同じ。プロ野球の世界では大きいほうではない。投げたボールに角度がつきにくい分、いかに打者の目線を上下に動かすかが必須となる。宮川は武器であるパワーカーブのほかにフォークも持ち球。この縦の変化を磨くことがプロの世界で生き抜くためには必要だ。落ちる球を有効に使えば球数も減る。西武の投手陣全体に刺激を与えてほしいね。
※週刊朝日 2020年2月28日号