「中学2年生までクラシックバレエをやっていたことも影響しているのかもしれませんが、元々、舞台は好きなんです。舞台の魅力ですか? 立ってるだけで楽しい。でも、本番に至るまでの稽古では、毎回痛みを伴います。映像なら、『もうちょっとできたかな』と思うシーンがあっても、監督がOKを出したら、次の日は違うシーンの撮影になりますが、舞台だと、『もうちょっとできるはず』という課題と日々向き合っていかないといけない。毎日毎日、トライの繰り返しで、それがいいところであり、苦しいところでもあります。正直、早く本番になってほしいってずっと思ってます。でも、その分、映像ではつかない“筋力”がつく気もして。“痛気持ちいい”ならぬ、“楽し辛し”って感じです(笑)」

 新しい現場に入るたびに、新しい発見がある。たとえば4年前、楳図かずお原作のミュージカル「わたしは真悟」に出演し、初めて外国人演出家と組んだ時は、それまでの物づくりの概念を覆された。

「それまでの創作現場では、楽しみながらよりも、苦しみから生まれるものがよしとされる部分があるような気がしていたんです。自分を追い込んで追い込んで、最後に爆発するエネルギーが生まれることが、特に舞台の現場では最良である、というような。それはそれで、一つのやり方としては正しいと思うし、そのやり方にとても助けられてきました。でも、フィリップ(・ドゥクフレ、アルベールビル冬季五輪の開閉会式の演出を務めた)さんの演出の現場ではその真逆で、リラックスした状態で生まれるクリエイションも、それはそれで素晴らしいんだよ、ということを教わった。その時は、『あ、こんなに仕事って楽しくていいんだ。ストイックにならないと豊かな感情は生まれてこないと思い込んでいたなぁ。少し、頭でっかちになりすぎていたな』ということに気づかされたんです」

 現在出演中の「麒麟がくる」でも、大河ならではの発見があった。

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