朝ドラ「わろてんか」で、元気いっぱいのヒロインを務めた葵わかなさん。その後も映画やドラマ、舞台などで活躍の幅を広げています。役を離れた素顔は、物怖じせず、ハキハキと自分の言葉で話す姿が印象的な女の子。作家・林真理子さんとのトークも盛り上がって──。
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林:葵さん、今21歳ですよね。朝ドラで「てんちゃん」をやったのがいくつのときでしたっけ。
葵:18歳から19歳にかけてです。
林:原宿を歩いてたらスカウトされたんですって?
葵:そうなんです。母と一緒に竹下通りを歩いててスカウトされました。でも当時10歳で、私はそのとき、一言もしゃべってないんです。事務所の方とは、母が全部やり取りして。
林:えっ、10歳? そんな小さいときだったんだ。
葵:私は神奈川出身なんですけど、スカウトされたその日に初めて電車に乗って東京に出てきたんです。だから原宿も、自分にとっては未知の世界すぎて、外国というレベルでした。いろんなファッションの人がいて、みんな歩くのも速いし、人がそんなに集結する場所が地元の神奈川にはなかったので、舞い上がってワ~ッてなっちゃって。
林:芸能界への憧れもなかったんですか。
葵:憧れというか、ほんとにふつうの子どもで、テレビ見ながら「私もこのクイズ番組に出たいな」って言ったら、母が「じゃ、オーディション受けてみたら?」と言うので、私も遊園地に行くぐらいの軽~い気持ちで、「受ける!」と答えてしまって。原宿には、オーディション用の写真を撮りに行ったんです。その帰りにスカウトしていただいて、「よかった!」という感じで。
林:そのときどんな服装をしてたか覚えてます?
葵:めちゃくちゃダサかったです(笑)。パーカーに短パンをはいて、おばあちゃんにもらったすごい柄のバッグを持って、そこにカピバラのキーホルダーをつけて。
林:プロの人ってすごいですね。竹下通りって、人、人、人じゃないですか。あの中をふつうの格好で歩いても、ちゃんと目をつけるんですね。