「俺さー、怖くて、気持ち悪くなって、降りたらゲボ吐いちゃった」。なんでも『宇宙山』的な名前の乗り物がたいそうなスピードで、Mは恐怖のあまり嘔吐したそうだ。「でもスゲー楽しかったー!」。公衆の面前でもどすほどの恐ろしい場所を「楽しい」とはどういうことだ? 怖さでいえば清水公園(@野田市)のアスレチックコースの「アリ地獄」だって負けてないぞ。巨大なすり鉢型の遊具で、下に落ちないようにただアリ地獄の内周をぐるぐるぐるぐる走り続けるだけだが、「全然別モノ!」とMに鼻で笑われた。Mはその場にいた友達に「付けてみ!」とねずみの「耳」を回し始めた。私も付けてみた。なぜか皆、爆笑。ふざけんな。あんなものが似合うのは本家だけだろうが。
たしか、保育園のとき、あのねずみの絵の描かれたお弁当箱を使っていた。こないだ実家に帰って弁当箱を見たら、黄色いコスチュームとマントに身を包み筋肉ムキムキのねずみ……ん? アルファベットで「MIGHTY MOUSE」……。似て非なるキャラクターじゃないか。私はそれを『ミッキーのお弁当箱』と呼んでいた。
通算3回「夢の国」に行ったが、私のおすすめのアトラクションは「魅惑のチキルーム」。ここはいつでも待たずに入れる。鳥たちはいつも一生懸命に歌っているのに人気無さげ。私はそれを「俺だったらこうやるのにな」と同じプロの目線で見つめる。おい、鳥。お前たちも俺のライバルだぞ。頑張ろうぜ、ねずみに負けんなよ。決めた。今年の目標は「ねずみに追いつけ追い越せ」だ。チュー。
※週刊朝日 2020年1月17日号