もし、空腹がつらくてイライラしてきたら、手のひらの中央あたりにある「労宮(ろうきゅう)」というツボをゆっくりと左右各15~30回ずつ押してみよう。自律神経を整える効果があり、食欲を抑え、気持ちを鎮めてくれる。
火~金曜の「良食日」には、体にとって必要な栄養素を厳選した食事をする。朝食は、ヨーグルトから乳酸菌を、キウイ、柑橘(かんきつ)系のフルーツからビタミン類、酵素を取る。昼食は炭水化物を取らず、バランス良くおかずを食べる。夕食は消化が早く、胃に負担をかけない野菜中心の料理を。アルコールは、ビールと日本酒を避けて、蒸留酒をたしなむ程度がいい。
週末は「美食日」を設けて、家族や友人と好きなものを食べる。せっかくの休日に自分だけ指をくわえて見ているのは、かえってストレスだ。日曜は夕食を早めに済ませ、夜12時までに就寝。しっかり睡眠を取り、翌日の断食に備えることも重要だ。
1回の食事量は良食日、美食日ともに、咀嚼(そしゃく)してこぶし二つ分までの量を守る。少ないと感じるかもしれないが、定着してくるとおいしいものを適量に食べて満足できるようになってくる。
1、2カ月続けると効果が表れてくる。2カ月で、体重は平均して10キロ減る。体の不調も改善してきたと実感する人が多いという。
関口氏によると、断食は、東洋医学において古くからある養生法だ。
「体重を落とすことに注目しがちですが、断食の目的は疲れた胃腸の回復にあります。低下した胃腸の機能が改善されると、消化吸収・代謝機能が高まり、減量につながります。体質改善の効果もあり、生活習慣病を防ぎ、免疫力を上げます。肌質や髪質も良くなるといったアンチエイジングにもなるのです」
■断食する注意点 筋肉量低下防ぐ
ただし、断食には注意点がある。前出の青木氏は、筋肉量の低下を留意する。
「食べてエネルギーが入ってこないと、筋肉を燃焼してエネルギーを得ようとします。高齢者は体を支えるのに筋肉が減ると危険です。無理のない範囲で筋トレも並行してやりましょう」
また、体格指数(BMI、体重<キロ>を身長<メートル>の2乗で割った値)の数値が18以下の人は、痩せすぎにつながるため控えたい。既にがんになっている人は、オートファジーが逆効果に働き、がん細胞を増やすことになるため断食は禁物だ。持病があったり、薬を処方されたりしている人は医師に相談してほしい。
「人生100年時代」。新年は断食で正月太りを解消するとともに、健康長寿を目指してはいかがだろうか。(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日 2020年1月17日号