「Harriet Ginza」の総院長・関口賢氏(左)、「あおき内科さいたま糖尿病クリニック」の青木厚院長(写真=本人提供)
「Harriet Ginza」の総院長・関口賢氏(左)、「あおき内科さいたま糖尿病クリニック」の青木厚院長(写真=本人提供)
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食欲を抑えるツボ「労宮」
食欲を抑えるツボ「労宮」
青木式「16時間断食」(上)/関口式「月曜断食」1週間のスケジュール (週刊朝日2020年1月17日号より)
青木式「16時間断食」(上)/関口式「月曜断食」1週間のスケジュール (週刊朝日2020年1月17日号より)

 お正月に暴飲暴食をして、体がだるいと感じる人は少なくないだろう。食べすぎは太るだけでなく、免疫力の低下や糖尿病、動脈硬化性疾患(脳梗塞[こうそく]、心筋梗塞など)、がん、認知症といった様々な病気のリスクを高める原因にもなっている。このリスクを下げるのに最も簡単な方法が「断食」だ。その効果と方法を2人の専門家に教えてもらった。

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 16時間の断食を提唱するのが、「あおき内科さいたま糖尿病クリニック」(さいたま市)の院長で医学博士の青木厚氏だ。著書『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)において、飢餓状態に陥ると活性化するオートファジー(自食作用)を利用する断食を勧めている。

「生きるために必要なエネルギー源を作り出す時、最初に利用されるのがブドウ糖。次に肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲン。それもなくなると、おなか回りなどについた脂肪。最後に細胞からもエネルギー源を得ようとします。この時に、古くなったり壊れたりしたミトコンドリアなどを利用するオートファジーが起きます」

 個人差はあるが、最後にものを食べてから12時間経つとオートファジーが始まり、16時間すれば、ほぼ確実に作用すると報告されているという。この仕組みを解明した東京工業大学の大隅良典栄誉教授が、様々な病気の解明と治療法の開発に役立つとして2016年にノーベル医学生理学賞を受賞したのは記憶に新しい。

 青木氏は週1回、12時間の断食から始めることを勧める。慣れてきたら、16時間に挑戦してほしいという。夕食は夕方4時、朝食は翌朝8時に取る過ごし方(右図)が理想的だ。

「人間には体内時計があり、ホルモンの分泌が時間帯によって異なります。体内時計を考慮し、うまく睡眠時間を利用すると空腹時間を無理なく過ごせますよ」

 青木氏によると、この断食を週1回、1年間続けた脂肪肝の患者は体重が7キロ減るとともに、症状が大幅に改善された。また、空腹時間を設けることで腸内細菌の数や種類が増加する。免疫の質が高まり、喘息やアトピー性皮膚炎、関節リウマチなどが改善された患者も多いという。

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