東アジアE-1選手権決勝・韓国戦の前半、佐々木翔(左)と話す森保一監督(C)朝日新聞社
東アジアE-1選手権決勝・韓国戦の前半、佐々木翔(左)と話す森保一監督(C)朝日新聞社
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東アジアE-1選手権決勝・韓国戦に臨む森保一監督(C)朝日新聞社
東アジアE-1選手権決勝・韓国戦に臨む森保一監督(C)朝日新聞社

 12月に韓国で行われたサッカーの東アジアE-1選手権は、森保一監督の株を大きく落とす結果となった。香港、中国に連勝したが、引き分けでも優勝だった韓国戦は0-1の惨敗。シュートはわずか3本とチャンスすら作れなかった。攻守に圧倒され、スコア以上に差を感じる内容に、2020年に開催される東京五輪に向けて大きな不安が残った。

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 エースのMF久保建英(マジョルカ)、MF堂安律(PSV)、MF安部裕葵(バルセロナB)ら海外組の主力を欠いてフルメンバーではなかった。だが、それは韓国も同じ条件なので言い訳はできない。共に国内組が中心の編成で監督の「采配力」が問われる戦いだったが、完敗だった。

 特に前半は防戦一方だった。3バックで広く空いた両サイドを突かれ、井手口陽介(ガンバ大阪)、田中碧(川崎)の両ボランチが韓国の激しいプレスで攻撃の起点にならない。カウンターを再三食らったが、試合中に修正を施せなかった。後半に入っても大きな戦術変更や効果的な交代策がないため、時間が経過するだけだった。

 韓国のスポーツニュース総合サイト・SPOTVニュースは、

「引き分けでも優勝することができた日本は韓国の相手にならなかった。結果は0-1だったが、試合を通して実力差が如実に表れた。Kリーグとアジアリーグ所属選手が中心の韓国代表を相手に、すべての面で劣勢だった。日本は技術だけではサッカーで結果を出すことはできないと、ひしひしと感じる準優勝だった。弱く、遅く、鈍かった」

 と森保ジャパンを酷評した。

 地元開催の東京五輪で予選は免除されるため、今後は国際大会での真剣勝負が少ない。スポーツ紙のサッカー担当はこう分析する。

「E-1の韓国戦が象徴的でしたが、戦術の引き出しが少ないので劣勢の展開になると対応できない。選手に迷いが出てきているのも心配です。個々の能力は決して低くないですが、組織のベースや約束事が見えない。今のままでは東京五輪は厳しいと思います」

 18年のロシア・ワールドカップ(W杯)では、大会3カ月前にバヒド・ハリルホジッチ監督を電撃解任。西野朗監督が就任し、ベテラン中心のチーム編成に「おっさんジャパン」と批判の声が多かったが、決勝トーナメント進出と下馬評を覆す快進撃を見せた。今回も東京五輪を前に、森保監督の手腕に懐疑的な見方が多い。この逆境を跳ね返せるか。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事