

ジャーナリストの田原総一朗氏は、いま一度「桜を見る会」とその後の政府の対応について、問題点を指摘する。
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何度も記すが、いま問題になっている、首相が主催する「桜を見る会」についてである。私は、安倍自民党の議員たちの神経が緩みきったために起きた事件だと考えている。
実は、2017年の森友・加計疑惑は、安倍内閣の生命が絶たれてもおかしくない事件であった。現に、国民の70%以上が「非常に問題がある」と捉えている。
だから私は、こうした厳しい疑惑によって、安倍内閣は神経を引き締めることになるだろうと考えていたのだが、逆に森友・加計疑惑を突破できたということで、神経が緩んでしまったようだ。何をしてもかまわない、ということになってしまったのだろう。
「桜を見る会」が問題になったとき、私は自民党の幹部たち数人に、「なぜ、こんなとんでもないことが起きたのか」と問うた。
誰もが返事に窮し、「あなたが言うように、我々の神経がたるんだのだろう」と自戒した。
繰り返しになるが、政府が公表している「開催要領」によると、招待範囲は皇族、元皇族、各国大使、衆参両院の正副議長、最高裁長官、閣僚、国会議員、事務次官及び局長の一部や、各界の代表者等、計約1万人と定められているのである。
ところが、安倍内閣になってから、参加者の数がどんどん増え続けて、今年の参加者は約1万8200人にもなっている。
当然ながら、参加者の多くは「開催要領」の招待範囲には該当しない、安倍首相を始め、自民党議員たちの後援会の会員たちであり、予算も約1767万円となっているのに、今年は5519万円と、3倍以上に増加している。その支出はすべて国民の税金なのである。税金が、いわば首相によって私物化されていると捉えられてもおかしくない。
なかでも、いま野党が問題にしているのは、招待者名簿を内閣府がシュレッダーで廃棄したことである。しかも、共産党の宮本徹・衆院議員が5月9日に今年の招待者名簿の資料請求をし、その約1時間後の廃棄だったことが疑惑を深めている。