


令和になっても絶えない、いじめ問題。ついに教師同士のいじめまでもが大々的に報道された。今、日本の教育はどうなっているのか。親子関係はどう変わったのか。大正生まれの作家・佐藤愛子さんと、「尾木ママ」こと尾木直樹さんが激論を交わした。
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佐藤:私は大正生まれですから、日本人が変質してしまったように思うんです。それが子どもの時の教育が問題なのか、社会的な価値観が問題なのか。そして、子どもに元気がなくなっていることについて教えていただきたくて。
尾木:ぼくが知ってることなら何でもお答えしますよ。
佐藤:最近起きた問題としては、神戸市立東須磨小学校の先生同士のいじめ。日本始まって以来の出来事じゃないかと思うんですよ。
尾木:実はですね、ぼくが教師になった40年ほど前から、教員同士のいじめは多くの学校ではあることなんですよ。たとえば、東京都内の教員だったぼくの友人は、2階の職員室にあった教師の机と椅子が、グラウンドに捨てられていたことがあると言っていました。びっくりして担ぎ上げて職員室へ戻し、引き出しを開けようとしたら、ボンドづけまでされてたそうです。
佐藤:それは先生仲間がやったんですか? 生徒がやったんですか?
尾木:先生です。おそらく神戸市も、かなりの学校では、あそこまでひどくなくても、教師による教師へのいじめが起きてるはずです。神戸方式という人事方式をとっていて、独特の体質があるんです。神戸市は政令指定都市なので、兵庫県と同じ人事権や予算権を持っています。そこで、昔からかなり有名なんですが、校長同士が人事のやりとりをして「うちでこの教師をもらうことにした」と教育委員会(教委)に報告を出す。人事権を持つ教委は、それに基づいて任命する。そういうずさんな方式をとってるんです。一部報道によると、加害者の先生は親族にも教員が多く、地元でも有名な教育一族なんだそうです。
佐藤:そういう場合に、みんな黙認するんですか?