以下、おもな給付型奨学金について解説していく。

■給付奨学金が2020年度から大幅に拡充

 日本学生支援機構の「給付奨学金」は2017年4月にスタートした新しい制度だ。もともと同機構がおこなっていた奨学金は返済義務のある「貸与型」のみだったが、経済的な理由で高等教育機関への進学を断念することがないよう「給付型」が創設されたのだ。今年度までは世帯年収270万円以下、住民税非課税世帯の学生のみが支援対象だったが、国の「高等教育の修学支援新制度」として、来年4月からは世帯年収380万円以下(4人世帯の場合)まで枠が拡大。支給金額もアップされることになった。

 さらに、この「高等教育の修学支援新制度」では「給付奨学金」とは別に「授業料等減免制度」も創設、入学金と授業料が免除されるようになった。世帯収入により額は異なるが、上限額の場合は、国公立大学であればほぼ全額免除、私立大学では75%前後の入学金と授業料が免除される内容だ。

 注意が必要なのは、この二つの制度の申し込むタイミングが違うこと。「給付奨学金」は、現役生の場合、進学の前年に高校経由で申し込む(予約型)。20年度向けの予約はすでに締め切られているが、20年度からは進学後に進学先の大学等を通じて申し込むこともできるようになったので、まだ申し込んでいない来年度進学者はここで申し込もう。申し込みには生計維持者と本人のマイナンバーの届け出が必要だ。一方、「授業料等減免制度」は、合格後、進学する大学に申し込む方法のみだ。支援を受けるための要件はどちらも同じで、「給付奨学金」が支給されることが決まった学生は全員「授業料等減免制度」も利用できるので、忘れずに申請するようにしよう。

 これらの制度は、高卒認定試験合格者や浪人生も利用可能だが、対象は卒業後(合格後)2年のあいだに進学した人に限られる。また、この制度が利用できるのは、「国等から対象となることの確認を受けた学校」のみで、すべての大学で使えるとは限らないので注意しよう。対象大学は文部科学省のホームページで確認できる。

 どちらの制度も、支給金額は、進学先や世帯年収、通学形態(自宅か自宅外か)などによって変わる。詳細は、日本学生支援機構のサイトで確認しよう。

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