■首都圏の主な大学の「給付型」奨学金

 在校生を対象に独自の奨学金を支給している大学は多い。従来、これらの奨学金は合格後に申し込むタイプが多かったが、ここ数年、目立って増えてきているのが「予約型」の給付奨学金。なかには数百人規模で募集をおこなう大学や、複数の奨学金制度を設けている大学も多く、今後ますます拡充されそうだ。受給要件は大学によって実にさまざま。世帯年収のほか、高校在学時の評定平均値や入学試験の成績、出身高校の所在地など、細かく指定されている。志望する大学にどのような奨学金があり、自分が対象となるのかどうか、きちんと調べておくようにしたい。

 また、これら大学独自の奨学金は、日本学生支援機構の「給付奨学金」との併用が可能な場合もある。うまくいけば、とうてい無理と考えられる経済状況でも進学が可能となるかもしれない。要チェックだ。

■民間企業や財団法人の奨学金

 数はそれほど多くはないが、民間企業や公益財団法人などでも、奨学金制度はある。母体となる企業が出資しているもの、資産家の遺産や私財を基金として運用しているもの、有志による寄付によって運営されているものなど形態はさまざまだが、そのほとんどが給付型だ。予約型も登場している。支援対象の大学や学部が指定されていたり、募集人数が少なかったりと、条件が厳しいところもあり、狭き門であることは否めないが、手厚い支援内容のものもある。募集時期はバラバラなので、早めの情報収集を心がけて。

■地方自治体の奨学金

 各都道府県、市区町村などの自治体でも独自に奨学金制度を実施しているところはある。こうした奨学金は「貸与型」のものがほとんどだが、なかには「給付型」の奨学金制度をおこなっているところもある。税金を投入しているもの、地元の篤志家や企業からの寄付を基金として活用しているものなどの違いはあるが、共通しているのは、給付対象者をその自治体の出身者もしくは居住者(本人ではなく、保護者が住んでいればいい場合もある)、その自治体にある大学に通っている人に限定しているケースがほとんどだという点だ。これらの奨学金を狙う場合は、まず自分の居住地域と進学希望の大学がある地域の自治体に、制度があるかどうか確認することから始めよう。支援内容や募集時期などは千差万別。他の奨学金との併用を認めていない場合も多いので、早めの情報収集と精査が必要だ。

(監修/久米忠史[奨学金アドバイザー])

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週刊朝日  2019年10月25日号

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