台東区は12日に自主避難所の小学校を訪れたホームレスとみられる3人について、「住民向けの避難所であり区外の人は利用できない」などとして断っていた。支援団体が区に抗議したが、対応は変わらなかった。避難所の担当者レベルではなく、区の災害対策本部のトップレベルの判断で拒否したことが、今回の問題の深刻さを示している。

 台東区では東京都の施設である「東京文化会館」(上野公園内)も、区の要請によって外国人観光客ら向けに開放された。都によると、住所にかかわらず受け入れているので、ホームレスらを拒否することはなかったと主張している。

 同会館を巡っては、軒先で雨宿りをしていたホームレスとみられる人が移動を求められたとの指摘もある。これについて都は、次のように説明している。

「開放の準備をする段階で、入り口付近にいた人に、『設置中なのでご協力ください』と職員がアナウンスしたことはあった。認識の違いがあったのかもしれないが、ホームレスの方を排除するつもりはまったくない」

 今回の台風では、都内で過去最大級の計画運休が実施された。駅や商業施設などが12日の早い段階で閉鎖され、ホームレスらにとっては雨風をしのげる場所が少なかった。台東区の上野や浅草周辺では、ビルの入り口などでうずくまり、風雨に耐える人の姿が見られた。

 今回の問題を教訓に、同様の事例が起きないよう、各自治体では対応が求められる。ある自治体関係者は、「地域住民以外は避難所に入れないで欲しいと訴える人もいる」と明かす。地域住民以外も余裕を持って受け入れられるよう体制を整備し、住民の理解を得ることが課題となりそうだ。
(本誌・多田敏男)
※週刊朝日オンライン限定記事

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