最期を支える在宅医はどうやって探せばいいか。システム的な面から山口医師はこうアドバイスする。
「一人で診療所を切り盛りしている在宅医は、24時間・365日態勢がとりにくい。特に緩和ケアを受けているがん患者さんへの対応はむずかしいかもしれません。診療所だけでなく、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所(ケアマネなどを配している事業所)などが同じ組織のほうが、情報共有がしやすい」
ただし、一人で訪問診療をしているところでも、他の診療所と連携をとってチームで訪問診療にあたっている場合もある。また、診療所と事業所が同じ組織の場合、「この在宅医とは相性が悪い」「ケアマネを代えたい」といったときに言いにくい欠点もある。
がんでも認知症でも、その病気を専門に診るのであれば、在宅だけでなく、そこに至るまでの外来治療にも詳しく、経験があったほうがいい。
望ましいのは、かかりつけ医が訪問する、あるいはかかりつけ医から紹介を受けた在宅医が引き継ぐケース。それがむずかしければ、入院していた病院や地域包括支援センターに聞くのも手だ。その地域の医療機関の情報をたくさん持っているからだ。その際は「お任せ」ではなく、「○○治療に詳しい医師を紹介してほしい」など、希望をしっかり伝えたい。
医師の姿勢も重要な要素。太田医師は「世間話をする在宅医」を勧める。
「在宅医療は治すだけではなく、支える医療です。床の間に賞状が飾ってあると、この患者さん、こんなすごい人だったんだってわかるでしょう。そこから始まる世間話にこそ、その人の暮らしや考え方を支えるためのヒントがあるのです」
苛原医師も同じ考えだ。
「患者さんの暮らしや好きなもの、どんな考え方をして生きてきたかは“雑談”をしないと見えてきません」
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2019年10月18日号より抜粋