高齢者は睡眠時間が5時間を切ると、免疫機能の低下に加え、様々な健康被害や交通事故の発生リスクが高くなるという報告もある。

「高齢者でも夜11時に寝て、朝6時に起床する7時間睡眠を目指してください。夕方に散歩をすると夜間のうたた寝を防ぎ、睡眠の状態をよくすることもわかっています」

 これからの季節は、お風呂の入り方にも気をつけたい。

 東京都健康長寿医療センター循環器内科の医師・鳥羽梓弓氏はこう語る。

「入浴に関連する死者は年間約1万9千人と言われ、交通事故の5倍です。9割は65歳以上の高齢者。冷えた体を温めようとして、熱いお湯に長時間入浴する冬場に急増します。ヒートショックという、急な温度変化と血圧変動を引き起こし、気を失ったり脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を起こしたりしてしまうのです」

 温度感が鈍ってくる高齢者は熱いお湯を好みがちになるが、40度以下のお湯に5分ほどつかる程度が安全だという。さらに注意したいのは、こんな時だ。

「アルコールを飲むと、血圧が下がります。お風呂に入ると急に血圧が上がってしまうので、飲酒後の入浴は避けてください。日頃から血圧の上下変化が大きい人も注意してください」

 こうした危険は、一人で入浴できる元気な高齢者こそ心配だという。入浴介助が必要な人には、気がついてくれる人がいるからだ。

 冬場の入浴リスクを下げるためには、(1)家族が10分おきに声をかけて様子を確かめる(2)脱衣所を暖めて浴室との温度差をなくす(3)浴室が暖まっていない一番風呂を避ける──の3点に気をつけたい。

 健康のための運動にも注意したい。早朝にジョギングや体操をしている人は少なくないだろう。しかし、スポーツトレーナーの坂詰真二氏は、朝起きてすぐは運動に適さないと指摘する。

「体が温まった状態になると筋肉は動きやすくなり、トレーニングの効果を得やすいのですが、起床してすぐはまだ体温が低め。運動には適していません」

 夕方4時前後が、最も体温が高く運動に適している。前出の白川氏も指摘したように、夕方に体を動かすことで夜の睡眠状態もよくなるから一石二鳥と言える。

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