けれど先も言ったが多くの人は怒られると反射的に謝ってしまう。特に相手がヒートアップしている時などはとにかく相手の怒りを収めるためにまず謝り下手に出て対応をしがちだ。
クレームに対して謝罪することは決して間違ってはいない、けれどもし反射的に謝ってしまっているのであれば要注意だ。それは無自覚に「謝り癖」が付いてしまっているのかもしらない。
もし反射的に謝ってしまっているのであれば、それは意識せずとも相手に優位性を譲ってしまっていることになる。どうしても謝っている立場というのは相手より優位には立てない。気づかないうちに相手に強い立場に立たれていて、押し切られてしまう場合がある。
それに、電話口などでいきなり怒鳴られた場合などはすぐ謝ってしまいがちであるが、実はよくよく話を聴いてみるとお客様の勘違いだったり、こちらに非が無かったり謝らなくていいケースというのもクレームには少なくない。
中には別の会社と勘違いして電話をしてきていて、全然関係の無いことで1時間位怒鳴られ結局「あ、ここ××って会社じゃないの? 勘違いしてたわ」と電話を切られたこともある。まさに時間と精神のムダ遣いだ。
だから反射的に謝る前に、それが本当に謝罪の必要なクレームなのかどうかを見極める必要があるのだ。
ではそのためにはどうすればいいのかだろう。
私は「謝罪に代わる言葉」をあらかじめ用意するようにしている。それは「どうされましたか?」という問いかけだ。
怒られた時はついとっさに口から「申し訳ございません」が出そうになるが、そこはこらえて「どうされましたか?」と問いかける。すると、私たちの側も謝罪モードから探求モードに切り替わる。謝る姿勢から、なにがこのお客様を怒らせているのか?と探ることに意識を集中させることができる。
また人間の頭は、質問をされると無意識に質問の答えを考え始める。だから怒りでヒートアップしている相手に対しても有用だ。