

漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「サ道」(テレビ東京系 金曜24:52~)をウォッチした。
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「サ道」とは、プロサウナー(単なるサウナ好き)のフリーのクリエイター・ナカタアツロウ(原田泰造)が、サウナ仲間と全裸にタオル一丁の姿で、あらゆるサウナについて語り合うドキュメンタリードラマだ。
かつて同局で「昼のセント酒」という、銭湯&風呂上がりの一杯をテーマにした作品があったけど。湯につかって「あ~ッ」、ビール飲み干して「プハ~ッ」の銭湯に比べて、サウナはより求道的な印象だ。
なんせ「道」だから。作法があるから。まず浴室で体や髪をよく洗う。しっかり水気を拭き取って、最初はサウナを6分、次に水風呂1~2分。休憩5分をはさみつつ3セット。
するとどうでしょう。ふいに訪れる「ととのった!」境地。全裸で味わう多幸感。サウナトランスに身も心もさらわれる。らしいよ。
番組内では全国各地の名サウナや、実在のオーナーが登場する。そして、実在の熱波師も。皆さん知ってました? 「熱波師」というパワーワード。
熱波師とは、ロウリュ(サウナストーンにアロマ水などをかけて水蒸気を発生させる)の際、タオルをバッサバサ振って、熱波をサウナーに送る名人のこと。
「このまま風に包まれて、死んでもいい」
サウナーオブザイヤー2018を受賞した熱波師・エレガント渡会が繰り出す華麗な熱波を受けたサウナーは皆、その風のなめらかさに酔いしれるという。
なんかもうサウナー界、いつのまにかとんでもないことになっている。狭い空間におっさんたちがみっしり詰まって、テレビ画面に映る大相撲中継が、気化したおっさんたちの汗でにじんでいく。って、そんな昭和サウナはもうないの?
マニアのマニアによるマニアのための「サ道」。ちょっと気になるのは、ちょいちょいおしゃれ要素が見え隠れすること。
音楽がCorneliusこと小山田圭吾のせいか、ロウリュとかフレーズが北欧なせいか(ほら北欧雑貨とかしゃらくさいくらいおしゃれだし)。女子向けサウナの回では、サウナ女子がみんなどんぐりのヘタみたいなおしゃれハットかぶってるし。
今まさにサウナおしゃれ化計画が進行してるの? 女性誌でチャラい特集されちゃうの? どこかに残しておいてほしい、おっさんたちがひしめき合うメタボゾンビの墓場サウナを。
※週刊朝日 2019年9月20日号