東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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高校日本代表の合宿でアップをする星稜の奥川(右)と大船渡の佐々木(右から2人目) (c)朝日新聞社
高校日本代表の合宿でアップをする星稜の奥川(右)と大船渡の佐々木(右から2人目) (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、今季のペナントレースの行方に期待を寄せる。

【写真】高校日本代表の合宿でアップをする星稜の奥川と大船渡の佐々木

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 18歳以下の世界大会であるワールドカップ(W杯)に臨んでいる高校日本代表の様子が連日大きく取り上げられている。甲子園決勝が行われた8月22日から、わずか8日で世界大会が始まった。

 決勝まで戦い抜いた星稜の奥川恭伸投手は疲労を完全に抜いて試合に入ることは難しいだろう。これだけ注目を集めると、勝った、負けた、優勝した、しないという結果が大きく取り上げられる。そういった注目の中で戦うことは、代表選手にとって貴重な経験となるのは間違いないが、過度な重圧につながってほしくないとの思いもある。

 奥川ならば、疲労から体が自由に動かない時にどんなパフォーマンスができるか、逆に体のどこが動いていないのかを冷静に見つめてもらいたい。プロの世界に飛び込むのだろうから、自分の体を知る機会としてほしい。他の代表選手からすれば、同世代の別の学校の選手の日々の練習内容、意識の高さなどを直接聞き、今後に生かすべきだ。

 決勝までいけば、10日間で9試合も戦う今回のW杯。一人の力で勝ち抜くことなんてできないし、コンディションの違いや運、不運もあって敗れることだってある。勝敗以上に大切なものを持ち帰ってもらいたい。

 大船渡の佐々木朗希投手にしてもそう。右手中指に血マメができたという話を報道で知ったが、一番長い指である中指にマメができるということは、しっかり指先まで力をボールに伝えている証拠で、悪いことではない。本人はあまりマメができたことはないと話しているようだが、高校で使っている球と国際球の違いを感じて余計な負荷がかかったとも想像できる。どうやればマメの部分を硬くできるのか、いろいろな対処法を試してもらいたい。「不安」に思う気持ちもあるだろうが、起きたことはもう取り戻せない。それぞれの事象にどう対応していくか。それも将来、大きな財産となる。

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