東海林:おかしな話です。
小泉:もっとおかしなことを言えば、反対派の米国は捕鯨国なんです。アラスカの先住民族は、生存捕鯨だからと、絶滅危惧種のホッキョククジラを何頭も捕っています。
■大量のサンマやイワシが胃袋に
東海林:日本の鯨食文化は生存捕鯨ではない。牛でも豚でも魚でもほかに食べるものがあるだろう、ということですか。
小泉:日本は、調査捕鯨のデータを示して鯨の頭数が増えていることと、商業捕鯨の再開を長年、訴えてきました。そして、「IWCは『鯨を持続的に利用する』という設立当初の姿に立ち返るべきだ」とも主張しましたが、まるで耳を貸してもらえなかった。
東海林:日本は、堪忍袋の緒が切れた、と。
いま、世界で鯨は何万頭いるのですか。
小泉:水産庁などのデータをまとめると、日本が調査捕鯨を行っていた南極を囲む南極海では、クロミンククジラだけで52万頭。北西太平洋では、イワシクジラは6万8千頭、ミンククジラは2万5千頭と推定されています。日本や捕鯨国は、シロナガスクジラのような絶滅危惧種を捕るつもりはないんですよ。
むしろ、保護によって鯨が増えすぎたいま、鯨による食害が海の生態系を壊している状態です。
東海林:小泉さんは、「クジラ食文化を守る会」の会長として長年、捕鯨問題を見ていますね。著書『鯨は国を助く』(小学館)には、調査捕鯨で捕獲したミンククジラの胃袋に、大量のサンマやイワシ、スケトウダラが詰まっている写真が載っています。あれだけ食われているんですからショックですよね。
小泉:どのミンククジラの胃袋も同じでした。この鯨はオキアミを食べていると思われていました。しかし、鯨が増えすぎてオキアミが減った。鯨はやむなく、魚を食べ始めたのです。函館はイカ漁が有名ですが、漁で集めたイカを鯨が食べに来る。漁業関係者は頭を痛めています。
東海林 鯨を食べて、生態系を守らないと。
──東海林さんの捕鯨についてのスタンスは?