日韓問題が深刻さを増している。ジャーナリストの田原総一朗氏は韓国を「ホワイト国」から除外する措置を決めたのは経産省だと推測する。
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日本と韓国の対立がどんどん激化していることを、どのように捉えればよいのだろうか。
きっかけをつくったのは、韓国の文在寅大統領であった。文政権が誕生したとき、経済は悪化していて、失業率がきわめて高かった。当然ながら文政権の支持率はどんどん落ちる。
こうした場合、どの国の首脳もまず行うのは、前政権を否定して逆の政策を打ち出すことだ。アメリカのトランプ大統領も、オバマ前大統領のやったことを次々にひっくり返している。TPPの否定や、イラン核合意からの離脱……など。
文政権がまず行ったのは、安倍・朴政権が成立させた慰安婦問題の合意を否定することであった。このような合意を韓国国民は支持していない、というのである。そして、慰安婦を象徴する少女像を新たに建てたのだが、これでも支持率が上がらないと、持ち出したのが「徴用工問題」であった。韓国大法院(最高裁)が下した、日本企業に賠償を命じた判決を、なんと実施することにしたのだ。
日本に敵対して、韓国人の被害者感情をかき立てようとしたのである。これは功を奏して、文政権の支持率は高まった。
そして、これらの露骨な措置に、いわば受け身で対応してきた日本政府が攻勢に転じた。7月1日に、韓国向けの半導体素材3品目の輸出規制強化措置を発表したのである。
これは、韓国に大きな打撃を与える措置であり、文政権は「全く誤った、許されざる対抗措置、報復措置である」と日本政府を非難し、日本製品に対する不買運動などが起きた。それに対して日本政府は、「韓国側の非難は全く見当外れで、報復措置などではない」と強く反論している。
現に、世耕弘成経済産業相は、今回の措置を取らざるを得なかった理由を、次のように述べている。
(1)輸出管理での意見交換に韓国が応じていない。
(2)輸出管理に関する不適切な事案が発生している。