

神様が挑戦権を与えてくれた――。高岡商(富山)の主将・森田朝陽(あさひ)はそう言った。17日の第101回全国高校選手権大会第11日。昨夏の大阪桐蔭に続き、今夏は履正社と、2年連続で大阪勢と対戦した。またも高い壁にはね返されたが、こう振り返る。
「やってきたことに間違いはない」
昨夏の敗戦がこの1年間の原動力だった。
根尾昂(現・中日)、藤原恭大(現・ロッテ)、柿木蓮(現・日本ハム)らを擁し、春夏連覇を達成した大阪桐蔭と対戦。森田は2年生ながら、1番左翼手で先発出場した。だが、2死満塁の場面で遊ゴロに倒れるなど、4打数無安打。チームも1―3で敗れた。
昨年のチームは、冬の間に6万本のスイングをした。それでも、大阪桐蔭から押し出し死球の1点しか奪えなかった。
主将に就いた森田は、7万本以上のスイングをチームの選手たちに課した。自身は8万本のスイングをすることを決めた。
「去年の夏の悔しさに比べれば、(スイングによる)手の痛さなんて」
迎えた最後の夏。
昨年からのメンバーである森田、井林泰雅、石黒優希、堀裕貴らが中心となり、富山大会では3試合でコールド勝ちするなど強さを見せつけた。そして甲子園に戻ってきた。
「神様が挑戦権を与えてくれたのかな」
初戦、そして2回戦を勝ち抜き、迎えたこの日。
「1番打者としての責任と意地を見せる」
どんどんバットを振っていった。
「攻める姿を見せたかった」
しかし、試合は、履正社の強打が高岡商のエース・荒井大地に襲いかかる。着実に点を重ねられ、七回までに9得点を許した。
7点差で迎えた最終回。先頭から3連打。4安打を放ち、2点を返した。
森田自身も4打数無安打で迎えた最終回、安打でつないだ。
「きれいなヒットではなかったですけど、やってきたことが報われた。自分で打ったというよりは、支えてくれた全ての方が打たせてくれた」
越えられなかった大阪の壁。しかし、14安打の履正社に対し、高岡商も12安打を放った。
「最後の2点がやってきたことの全て。やってきたことは間違いない」
73人全員で戦った。「メンバーから外れてしまった3年生が必死に支えてくれて……」
森田は声を震わせた。
今年も、1、2年生が先発メンバーに名を連ねた。今年を超えるチームとして、リベンジを誓う。(本誌・田中将介)
※週刊朝日オンライン限定記事