2018年のドラマの台風の目となった「おっさんずラブ」。「新語・流行語大賞」トップ10に選ばれ、最終回とその前の週の放送中には、Twitter世界トレンド1位にもなった。今夏に劇場版公開を控え、さらなる盛り上がりを見せている。なぜこれほど愛されるのか。
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7月初旬、全国11カ所にOL民が結集して“公式オフ会”と称するイベントが開催されていた。OL民とは、O=おっさんず、L=ラブ、民=ファン。劇場版の公開前に、ドラマ版全7話を一気見しようという上映イベントだ。東京会場となるTOHOシネマズ六本木ヒルズは「はるたん(ハート)大好き」、「圭」といった応援団扇(うちわ)を胸に掲げるOL民、そして「あの時 お前が俺をシンデレラにしたんだ。」などの名セリフがプリントされたマフラータオルを肩にかけたOL民で溢れ、アイドルコンサートのような雰囲気が漂っていた。
ゲストとして“はるたん”こと春田創一を演じる田中圭さん、瑠東東一郎監督が登場すると、OL民からは悲鳴のような歓声が。さらに解禁されたばかりの予告編が流れると、あちこちから「かわいい~!」「尊い!!」と声が上がり、映像に即時に反応して驚いたり、悲鳴が上がったり爆笑したり。その様子を見たはるたんが圧倒されるほど、会場はものすごい一体感だった。しかし、ドラマが終わって1年も経つのに、なぜ「おっさんずラブ」はこれほどファンの心を一つにさせるのだろう。
本誌でもおなじみ、漫画家・TVウォッチャーのカトリーヌあやこさんは、恋愛ドラマが壊滅的な今、徹底的に王道のラブストーリーをやったことが人を惹きつけたのではないか、と分析する。
「おっさん同士の愛という攻めた設定でありながら、とにかく正統派のラブストーリーをやっていこうという姿勢が面白かった。『あすなろ白書』ばりのバックハグや『ロンバケ』みたいに結婚式の衣装で走ったり、ラブストーリーのあるあるがちりばめられていて。ただ、ヒロインはシェイクスピア劇で鍛えた声量で、『はるたんが、好きでええす!』と乙女な告白をしてしまう吉田鋼太郎さんだったりするんですけど(笑)。実力派の俳優さんたちが、真剣にラブストーリーを演じると、こんなにも胸に迫るんだという驚きがありました。入り口はトリッキーだけど出口は純愛というか」