著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、ミュージシャン・鮎川誠さんの「赤坂 有薫」の「有明海珍味盛合わせ」だ。
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ここは、福岡県久留米の幼なじみが30年くらい前に開いた店。九州もんの郷土料理が食べられる居酒屋で、シーナも北九州生まれやけん、ライブの合間にふたりでよう行きよった。
地元でなじみの有明海は干潟があって、ムツゴロウみたいに他では見れんような魚介がいっぱいおる。この店は、そんな有明海の珍しい魚介をいろいろ食べさせてくれるとです。とくにイソギンチャクの“わけのしんのす”は珍味中の珍味やね。コリッとした、なんとも言えん食感で。穴ジャコの“マジャク”の唐揚げも殻ごとかぶりつけばうまか。これ以外に柳川名物の鰻のせいろ蒸しは昔からよく食べとった。とにかく誰か知り合いを連れていったら、お国自慢のオンパレードで、いつも盛り上がるけんね。
この間、何年ぶりかで高校時代の同級生とこの店で集まったとです。ストーンズに憧れて、ギター弾いてロック漬けだった頃の自分がよみがえって……やっぱり同郷の仲間はいくつになってもよかですね。
(取材・文/沖村かなみ)
「赤坂 有薫」東京都千代田区永田町2‐14‐3東急プラザ赤坂3F/営業時間11:30~14:00L.O.17:00~21:30L.O.(土日祝16:00~21:00L.O.)/定休日:年末年始のみ
※週刊朝日 2019年7月26日号