「特養ホームの運営資金は50%が税金、40%が介護保険、そして自己負担が10%で賄われています。つまり公的資金が9割を占めている。行政が質を担保する義務があるのです。誰がどのように介護サービスの質を担保していくかということが今改めて問われています」(本間理事長)

 ちなみに施設評価は、施設の人数に応じた料金プランとなっている。

 満を持して施設に入居したものの、“殺されて”しまっては元も子もない。“殺されない”ためのポイントは何か。

 淑徳大学の結城教授によると、確実にチェックすべき点は次の4つに絞られるという。

(1)地域住民との交流
(2)職員の離職率
(3)看護が24時間体制か
(4)建物の豪華さに惑わされない

(1)ではボランティアなど地域住民との交流が活発な施設は、あらゆることをオープンにしても良いという姿勢を持つ施設と判断できるという。閉鎖的な施設では目が届かず、職員による虐待が生まれやすい。職員も良い意味で見られているという緊張感を常に持つ。

(2)では、質の高い施設は離職率も低く、労働環境が良いと推察できる。見学の際に離職率を尋ねたときの反応からも読み解くことが可能だという。

「しっかり離職率を開示する施設は合格。逆に隠そうとしたり、口ごもったりしたりする施設は要注意です」(結城教授)

(3)では、看護師が24時間在勤している施設は少ないが、すぐに誰かが駆けつけてくれるかなど、在勤していなくても緊急時の体制がしっかりとしているかどうかを確認するべきだという。

(4)は文字通り、「羊頭狗肉」(見かけが立派で実物は違う)に注意すべきということである。

 外岡弁護士は、二つの点に着目すべきと指摘する。

(1)「小規模多機能型居宅介護」の活用
(2)施設経営者の経歴や理念

(1)は介護保険における地域密着型サービス。利用者は事業所に登録して、事業所のケアマネジャーと相談しながら「通い」「泊まり」「訪問介護」の3つのサービスを用途に応じて受けることができる。定員も29人と小規模で、外岡弁護士の親族も利用していたという。

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