関西のお笑いはしゃべりの芸ですからね。僕みたいな体の動きで笑わせるスタイルはなかなかウケなくなったんです。
それでも何とか、演技の世界でがんばりました。「新・夢千代日記」や「おんな太閤記」、NHKのドラマにも出していただきましたよ。NHKは、ギャラはよくないんだけどさ。番組制作の誠実な姿勢は今も大好きです。
仕事が減ってきましたが、しのぎながら生きていました。そんなところへ追い打ちをかけるように、2000年には交通事故を起こしてしまいました。自分の起こしたことですから、心底反省しましたよ。
でもそのときにね、ああ、これも運命だなあ、って思いましたね。いよいよ仕事が少なくなってね。
舞台のネタで「ウケない、金ない、仕事ない」なんて言ってたんだけど、本当にそうなっちゃった。
そうやって芸能界の変遷も見てきたし、自分の浮き沈みも経験した。だからこそ、今思うんですよ。ほんとにこの仕事をしていてよかったなって。
だって、普通なら会えないような人と会えて、一緒に仕事ができましたから。こんなことってないですよ。
そして、どんな仕事も運と縁とタイミングだな、と。まるで他力本願みたいに聞こえるかもしれないけど、努力のないところに運は巡ってこないと思ってる。縁は大事にしないと生かせない。
タイミングも、いつも気を配ってなければ気がつけないでしょ。だから運と縁とタイミングは大事にしなくちゃ、って思ってるんですよ。
え? もしジャーナリストになっていたら? 僕、ほんとは利権とか大好きだからね(笑)。既得権益大好きだから、ダメですよ。
でもね、真面目な話、今自分は氷河期だと思っている芸人の皆様。誰かがどこかで絶対見てくれている!がんばっていれば必ず勝てます! ナハナハ!
(聞き手・浅野裕見子)
※週刊朝日 2019年6月28日号