

右肩の炎症でファーム調整している中日・松坂大輔が1軍マウンドを目指し、ギアを上げている。
5月28日のソフトバンク戦(タマスタ筑後)では2回を完全投球。6月14日からのウエスタン・リーグ、阪神3連戦(甲子園)では投球イニングを3、4回以上に伸ばす予定だ。
スポーツ紙の中日番記者は予測する。
「チームがなかなか上昇気流に乗れない中で、松坂投手が1軍に帰ってくれば大きな起爆剤になる。ただ、故障の再発だけは防がなければいけません。段階を踏んで慎重に調整しているので、投げるスタミナをつけることなどを考えると、1軍復帰は7月中旬の後半戦からになるのでないでしょうか」
ただ、中日ファンの総意として、松坂の復帰を心待ちにしているかというと事情は複雑だ。
ソフトバンクを自由契約になり、中日にテスト入団した昨年は、日本で4241日ぶりの白星を挙げるなど6勝を挙げてカムバック賞を受賞。松坂の登板試合はホーム、ビジターの関係なく多くの観客が集まる人気ぶりだったが、今年は1軍登板なし。
2月の春季キャンプ中にファンに体を引っ張られた際、古傷の右肩に違和感を覚えて戦線離脱すると、5月にはリハビリ先の関東でチームの練習日にゴルフをしていたことが週刊誌報道で発覚。球団からペナルティーを科せられるなど、グラウンド外の騒動が目立ち、ファンの目線も厳しくなっている。
集客能力が高い松坂の復帰は営業面で大きなプラスアルファだが、チームの将来を見据えた戦力構想を考えると、その立場は安泰ではない。
与田新監督のもとで再スタートを切った今年は松坂だけでなく、笠原祥太郎、小笠原慎之介、藤嶋健人と先発で一本立ちが期待される若手投手たちが故障で離脱して苦しい戦いが続いている。
6月は3勝8敗と大きく負け越し、26勝35敗で借金9の5位に低迷(6月13日現在)。勝負の夏場を前に早くも優勝争いで脱落の危機を迎えている。