いいでしょう。こういう死を想像すると思わずにっこりしてしまいます。自分の死に対して暗いイメージを持つのはよくありません。明るいイメージを持てば、それが実現します。いわば、死のイメージトレーニングですね。

 さらに死に親しむために必要なのは、先にあの世に行ってしまった人たちと交流を深めることです。

 私の歳にもなると、多くの親しい人たちが向こうに行ってしまいました。ひとりでゆっくり杯を傾けていると、そういう人たちが語りかけてくるのです。

 肉親や先に逝ってしまった妻はもちろん、まだ飲みたりなかった友人たちがあらわれて、「早くこっちに来いよ、また大いに飲もう」と誘います。

 私が死んだら、真っ先に会いたいと思っている人が何人かいます。

 日本に太極拳を広めた楊名時先生もその一人です。楊名時先生と共に一杯やるのは至福のときでした。再びお会いできると思うと、死ぬのが楽しみになってくるのです。

 死をマイナスにとらえるのではなく、プラスにとらえましょう。そのためには死後の世界をどう考えるのかも重要になってきます。それについては、次号でお話ししたいと思います。

週刊朝日  2019年6月21日号

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